古い家を解体してから売るか、そのまま売るか|25年の現場経験から見た判断基準

古い家を解体してから売るか、そのまま売るか|25年の現場経験から見た判断基準
SELL OR DEMOLISH GUIDE

「解体して売った方がいいですか、それともそのまま売った方がいいですか?」という相談を月に何件か受けます。答えは一つではありませんが、私が25年で見てきた経験で言うと立地が良ければそのまま売る、悪ければ解体するのが基本的な判断軸です。どちらが「得か」は状況によって変わります。その判断基準を具体的に解説します。

目次

「解体して売る」か「そのまま売る」か – 結論から言う

Chapter 01

「解体して売る」か「そのまま売る」か - 結論から言う

01
CONCLUSION 01
「解体して売る」か「そのまま売る」か – 結論から言う

この質問に正直に答えると、「立地が良ければそのまま売る。立地が悪ければ解体して更地にする」です。ざっくり言うとこれだけです。

立地が良い(駅近・整形地・需要の高いエリア)物件は、古家付きでも買い手がつきやすい。買い手が「自分で解体費用を払ってでもこの土地がほしい」と思う土地です。無理に解体して更地にするより、古家付きのまま売ってしまった方が手取りが多くなることが多い。

逆に立地が悪い(駅遠・旗竿地・需要が低い地域)物件は、古家が残っていると買い手がつかない。更地にすることで「買いやすさ」を作る必要があります。ただし解体費用を払って更地にしても売れない可能性はゼロではありません。

ポイントは「解体費用を払うかどうか」ではなく、「解体することで買い手がつくかどうか」です。この判断を間違えると損をします。

解体して更地にするメリットとデメリット

Chapter 02

解体して更地にするメリットとデメリット

02
DEMOLISH 02
解体して更地にするメリットとデメリット
項目 内容 注意点
買いやすさが上がる 新築希望者には更地が断然魅力的 建築条件なしの更地は需要が高い
売却交渉がシンプルになる 「解体費用分値引きして」という交渉がなくなる 古家付きは必ずこの交渉が入る
固定資産税が6倍になる 更地にすると住宅用地軽減特例が外れる 解体後に売れなければ毎年の固定資産税が上がる
解体費用が先にかかる 売れるかどうかわからないのに100〜300万円の出費 売れなければこの費用が丸ごと損失

更地にしてから売る最大のリスクは「解体費用を払ったのに売れない」ことです。解体後は固定資産税が一気に上がります(住宅用地の軽減特例が外れるため最大6倍)。売れないまま固定資産税を払い続けることになります。

古家付きのまま売るメリットとデメリット

Chapter 03

古家付きのまま売るメリットとデメリット

03
AS-IS 03
古家付きのまま売るメリットとデメリット
項目 内容 実態
解体費用がかからない 初期出費なしで売却活動を始められる 資金的に余裕がない場合の現実的な選択
固定資産税の軽減が継続 建物が残っている間は住宅用地の軽減特例が適用される 更地にする前は6分の1のままで済む
買い手が限られる 新築希望の買い手が敬遠することがある 建物の状態が悪いほど価格を下げないと売れない
解体費用分の値引き要求が来る 買い手から「解体費用分を引いてほしい」と言われる これは必ずと言っていいほど起きる

古家付き売却で必ず起きるのが「解体費用分の値引き交渉」です。買い手は「解体費用がかかるから」という理由で値引きを求めてきます。結果的に「解体してから売る」とほぼ同じコスト負担になるケースも多い。

固定資産税が「6倍になる」問題を正しく理解する

Chapter 04

固定資産税が「6倍になる」問題を正しく理解する

04
TAX 04
固定資産税が「6倍になる」問題を正しく理解する

「更地にすると固定資産税が6倍になる」という話を聞いたことがある方は多いと思います。これは事実ですが、正確に理解しておく必要があります。

正確には、住宅が建っている土地には「住宅用地の軽減特例」が適用されます。面積200平米以下の部分の固定資産税は通常の6分の1、都市計画税は3分の1に軽減されます。建物を解体すると、この軽減が外れます。

例えば固定資産税評価額3,000万円の土地(200平米以下)であれば、

  • 建物あり(軽減適用):固定資産税 約5万円/年
  • 更地(軽減なし):固定資産税 約30万円/年

この差が年間25万円。売却活動に1年かかれば25万円余計にかかります。更地にするタイミングは「売却目処が立ってから」にするのが基本です。

ただし「特定空き家」に指定された物件は軽減特例が外れる場合があります(2015年空家法施行)。空き家状態のまま放置せず、解体か売却かを早めに決めることが重要です。

朝霞・和光・志木エリアでの傾向

Chapter 05

朝霞・和光・志木エリアでの傾向

05
LOCAL 05
朝霞・和光・志木エリアでの傾向

このエリアで25年見てきた経験から言うと、以下のような傾向があります。

更地にした方が売れやすいケース

  • 朝霞市・和光市の駅から徒歩15分以上の物件
  • 志木市の旗竿地・接道難の物件
  • 築50年以上で建物の状態が著しく悪い物件
  • 隣接道路が4m未満で建て替え時に敷地後退(セットバック)が必要な物件

古家付きのままでも売れやすいケース

  • 朝霞市・和光市の駅徒歩10分以内の整形地
  • 志木市・朝霞市の学校区が人気のエリア
  • リノベーション向けの状態が比較的良い物件
  • 土地面積が50坪以上で整形地の物件

ただしこれはあくまで傾向です。同じエリアでも道路条件・土地の形・周辺環境によって変わります。地域の不動産会社に「古家付きとそのまま売るとしたら、どちらが値段がつきやすいか」と直接聞いてみることが一番確実です。

判断するための5つの質問

Chapter 06

判断するための5つの質問

06
CRITERIA 06
判断するための5つの質問

迷ったときに答えてほしい5つの質問です。

Q1. 駅から徒歩10分以内ですか?

YES → 古家付きでも売れる可能性が高い。まずそのままで売り出してみる。
NO → 更地の方が買い手がつきやすい可能性がある。

Q2. 建物の状態は「住める」レベルですか?

YES → リノベーション希望の買い手にも訴求できる。古家付きが選択肢になる。
NO → 状態が悪い建物は買い手の印象を下げる。更地も検討。

Q3. 解体費用100〜200万円を今すぐ出せますか?

YES → 更地の選択肢を含めて検討できる。
NO → まずは古家付きで売り出し、売却価格から解体費用を差し引いた形で交渉する方が現実的。

Q4. 「特定空き家」に指定される心配はありますか?

YES → 指定されると固定資産税軽減が外れる。早急に対処が必要。
NO → 当面は固定資産税軽減が継続するので、売却タイミングを急がなくてよい。

Q5. 売却後に新築を建てる予定はありますか?

YES(自分が建てる)→ 建て替えの住宅ローンに解体費用を含める選択肢がある。
NO → 解体費用は売却代金から回収することになる。

よくある質問

Chapter 07

よくある質問

07
FAQ 07
よくある質問
Q. 売却前に解体すると不動産会社は困りますか?
A. 不動産会社は古家付きでも更地でも売却活動はできます。ただし解体前後で査定価格・売り出し戦略が変わるので、解体前に不動産会社に相談して判断を仰ぐことを勧めます。
Q. 相続した家を解体するとき、相続登記は済ませる必要がありますか?
A. 2024年4月から相続登記が義務化されました(3年以内の登記が必要)。解体前に所有者名義を確認してください。名義が亡くなった方のままだと、解体業者との契約が難しくなることがあります。
Q. 古家付き土地として売る場合、建物の欠陥は告知しないといけませんか?
A. 告知義務があります。雨漏り・シロアリ・構造上の欠陥・近隣トラブル等は「物件状況確認書」で正直に開示してください。隠して売却すると後から損害賠償を求められるリスクがあります。
Q. 解体後に地盤が悪かったと判明した場合、買い手に対して責任はありますか?
A. 解体後の地盤状況を知っていて告知しなかった場合は責任が生じます。解体後の売却では地盤調査を入れて結果を開示する(瑕疵担保責任の軽減になる)か、「更地渡し・地盤調査済み」として売り出すことを勧めます。
Q. 「解体前提の価格で売ってください」という買い手の申し出はどう対応すべきですか?
A. これは実質「解体費用分値引きして売ってほしい」という交渉です。解体費用の適正額を把握していないと、言われるがまま値引きすることになります。AI概算査定で解体費用の相場を確認した上で交渉に臨んでください。

不動産会社・解体業者・税理士の三者で相談する

「解体して売るか、そのまま売るか」の判断は、一つの専門家だけに聞いても片手落ちになります。それぞれの立場から見えるものが違います。

不動産会社に聞くべきこと

「古家付きとして売り出した場合と更地として売り出した場合で、売却価格と売れるまでの期間はどう変わると思いますか?」と直接聞いてください。地元に強い不動産会社なら、この地域の直近取引データを持っています。複数社の意見を比較することで、どちらが得かの判断材料が揃います。

解体業者に聞くべきこと

「この物件の解体費用の概算を教えてください」と聞いてください。ただし1社だけに聞くと言い値になりがちです。AI概算査定で相場を把握した上で、業者見積もりと比較することが重要です。

税理士に聞くべきこと

相続した物件の場合、「空き家の3,000万円特別控除(3年以内の特例)」の適用条件を確認してください。この控除は条件を満たせば譲渡益から3,000万円を控除できる制度で、2024年改正で要件が一部緩和されました。解体工事のタイミングが特例適用に影響することがあるので、売却前に必ず税理士に確認してください。

「解体前提の価格」と「更地渡し価格」は違う

買い手から「解体費用分の値引きを」と言われたとき、「解体前提の価格」と「更地渡し価格」は別物です。

解体前提の価格:買い手が自分で解体費用を負担することを前提に、その分を売却価格から差し引く交渉。買い手にとっては「土地代+解体費用」の合計が総コストです。

更地渡し価格:売り主が解体工事を完了させてから土地を引き渡す契約。「更地渡し300万円」なら売り主側で解体が完了した状態での引き渡しです。

この二つは税務上・契約上の扱いが違います。特に相続絡みの案件では、「いつ解体したか」が特別控除の適用に影響します。どちらの形で売るかを決める前に、税理士に確認することを強く勧めます。

25年で見た「解体して後悔した」ケースと「そのまま売って正解だった」ケース

「解体して後悔した」ケース:志木市の物件(築45年木造・駅徒歩8分)。更地にして売ろうと120万円をかけて解体。ところが更地になったら固定資産税が年20万円増え、売れるまで10ヶ月かかりました。古家付きで売れば解体費と10ヶ月分の固定資産税差額(16万円)の計136万円が浮いたはずです。

「そのまま売って正解だった」ケース:朝霞市の物件(築50年木造・駅徒歩3分)。「古すぎて値がつかない」と思っていた施主が古家付きで売り出したところ、リノベーション目的の買い手がすぐつきました。解体費100万円が浮いた形になりました。

立地によって正解が変わる、というのはこういうことです。

解体費用を知らずに売ると必ず損をする

Chapter 08

解体費用を知らずに売ると必ず損をする

08
SUMMARY 08
解体費用を知らずに売ると必ず損をする

「解体して売るか、そのまま売るか」の判断で一番失敗するのは、解体費用を知らずに交渉に入ることです。

買い手から「解体費用100万円分は値引きしてください」と言われたとき、実際の解体費用相場が70万円なら30万円の損です。逆に相場が130万円なら「それは相場より安い要求だ」と判断できます。

どちらに転ぶにしても、解体費用の適正額を先に把握しておくことがすべての判断の前提になります。売却活動を始める前に、AI概算査定で費用感をつかんでおいてください。

FROM THE FOUNDER
菊池 隆弘

菊池 隆弘
解体適正価格チェック 代表 / 25 YEARS IN THE INDUSTRY

「解体して売る」判断をするなら、解体費用の適正額を先に把握してください。見積もりを業者に丸投げする前に、AI概算査定で相場を確認することが交渉の前提になります。

まずは適正価格をチェック →

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